Wisdom.131

‟奇跡だけは美しい” 

- 工藤国雄 -

 

 

(ルイス・)カーンが建築家として存在し得たこと、カーンが建てられたことは、戦後アメリカの希望に満ちた時代の一瞬の偶然であり、歴史の奇跡だったように思う。だからこそ、ひとは惹かれるのだろう。結局奇跡だけが美しい。

日本人は、精神の奇跡、辺境をさまよった精神を、世界と歴史から見つけだし、さまざまなイングレディエント(成分)を混ぜて美味な酒をつくる。

 

 

 

 

 

工藤国雄(くどう くにお、1938~)

建築家。コロンビア大学准教授、同大学日本建築先端研究本部長。1970年ペンシルヴァニアのルイス・カーン建築設計事務所に勤務し、「バングラディッシュ国会議事堂」「キンベル美術館」などの設計に携わる。72年より9年間名古屋工業大学で教鞭をとった後、ニューヨークのKPF,HLWなど大手デザイン事務所で実務を修行。主な建築作品に「ライトハウス甲府支店」「大木町総合福祉センター」「熊本済生会病院」など、主な著書に『計画論』『方法の美学』『建築の三つの魂』『私のルイス・カーン』など。