Wisdom.197

‟イサムが愛した父は” 

- 磯崎新 -

 

不幸なことに、イサムが愛した父は「日本」だった。

実の父までが、その愛を拒んだ。

受け容れたのは、もの言わぬ石だけ。

彫られた石、組まれた庭は、だから、

悲哀にみちている。

イサムはいうだろう。

「日本」よ、それでもあなたは私の父だった。

 

 

 

磯崎新(いそざき あらた、1931~)-建築家。磯崎新アトリエ主宰。

主な建築作品に「大分県立大分図書館」「群馬県立近代美術館」「ロサンゼルス現代美術館」「セラミックパークMINO」「山口情報芸術センター」「北京中央美術学院美術館」など、主な著書に『空間へ』『建築の解体』『UNBUILT/反建築史』『建築における「日本的なもの」』『ビルディングの終わり、アーキテクチュアの始まり』(共著)『Any:建築と哲学をめぐるセッション1991-2008』(共編)など。